第七章 メキシコ
第七章 メキシコ
メキシコは国土の面積が日本の5.3倍もあるのに、GNPは80兆円と日本の2割にも満たない。しかし資源は豊富で政治も最近は安定しているので、ラテンアメリカ諸国の中では住み良い国らしい。
資源の一つに原油がある。ユカタン半島の北側に海底油田があって世界の8位の生産量である。オペックに入っていない重要な国である。
しかしガソリンの値段は1リットル約70円と産油国としては高い。理由は(サラリーマン以外の)高額所得者が税金を払わないので、ガソリン税を通じて高額所得者から税金を徴収する、という考え方だそうだ。
塩も資源のひとつ。メキシコの北バハ・カリフォルニアの大規模な塩田から大きなタンカーで日本に輸出されている。用途は化学工業用である。
さらに規模を拡張する計画があったが、ここは鯨が子供を産み育てる場所になっていることから、環境保護団体の強い反対が功を奏して取り止めなったという。地球保護も根付いてきた感じがする。
現地ガイドのTさんはメキシコ在住30年、ガイド暦10年のベテラン。彼はメキシコの資源と日本の頭脳を組み合わせれば大きな発展が期待できると考えた時期があった、という。
しかし、メキシコが自然に恵まれており、バナナ、パパイヤなどの果物、魚など食べるに困らない環境にある為、日本人がメキシコに住みついたら日本にいる時のように働かないのではないか。だからうまくいくとは限らない、と考え始めるようになったとのこと。
例えば、Tさんのお父さんが鳥取からメキシコに訪れた際に釣りに連れて行って「入れ食い」であまりに簡単に魚が釣れるので、さすがに釣り好きのお父さんも5分もすると「つまらないから帰ろう」と言ったとか。
10月5日:アカプルコ
アカプルコは年間300万人程の観光客が訪れる、メキシコを代表するビーチ・リゾート。エルヴィス・プレスリーが主演した映画「アカプルコの海」(1963)が有名である。仙台市の国際姉妹都市でもある。
アカプルコはメキシコ・シティの保養地となっている。週末になるとメキシコ・シティのスモッグを避けて別荘に大勢の人が訪れる。
海抜2、240メートルの高地にあるメキシコ・シティは涼しい、アカプルコは北緯19度の海岸だから暑いと思うのだが。スモッグを避けたいのだろう。
寄港地のアカプルコからバスでメキシコ・シティに向う。街にはカブトムシ(フォルクスワーゲンの愛称)が目につく。燃費もよく小型で小回りがきくからタクシーには向いている。 現在はメキシコでの生産は中止されているが人気の車だという。
日本のサニーは人気があり、現地名で「つる一号、二号、にんじゃ、さむらい」等と名前が変わってきた。「こうせいのう(高性能)」という面白い名前もあったとか。
支倉常長の銅像がアカプルコの大通りの分離帯に立っている。ガイドによると、支倉常長は伊達正宗の命を受けて、カトリック教布教の許可をローマ教皇から得るためにメキシコ経由イタリアへ向ったという。
当時徳川幕府のキリシタン弾圧の時代だったため、許可は得られずこの計画は失敗に終わった。しかし支倉常長は後に仙台市の名誉市民になっているという。
メキシコ原産のものがいくつもある。さつまいもはメキシコからフィリピンにわたり、そこから薩摩に渡って「さつまいも」となった。
とうもろこしはメキシコ人の主食「トルティージャ」の原料になる。実を水に一晩漬けておき、石うすで粉(ギョーザの皮のようなもの)にして焼く。その上に肉や野菜の具をのせて食べるのがタコスだ。
かぼちゃはスーパーでメキシコ産という表示をみかける。アボガド、(アップル)マンゴー、ヅッキ-ニと数えるときりがない。中でも重要なのはカカオである。
カカオの実は硬くて腐らないし運びやすいので、長い間お金の代わりになっていた。税金をカカオの実で納めていたという。メキシコ・シティの国立博物館にも他の貨幣と並んで陳列されていた。
しかしチョコレートにするにはミルクが必要で、メキシコにはミルクを出す動物(牛、ヤギ、羊、馬など)がいなかった。だからチョコレートはスペインなどの貴族だけが食べる高級食品として製造され、メキシコ人の口には入らなかった。
カカオの実は普通の木のように、枝の先につくのでなく幹につく。収穫するには竹ざお状のもので叩き落すのだそうだ。
韓国産のまったけはおなじみだが、メキシコもまったけを日本に輸出しているという。ただ、最初にまったけを日本に輸出しようとした商社マンが「出来るだけ大きいのがよい」とだけ現地人に説明しため、大きすぎるのを集められて困ったという。もちろんメキシコ人にまったけを食べる習慣はない。

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