(特集)団塊世代に贈る「第二の人生を2倍楽しむコツ」
・・・あなたの悩みはこれで解決! 多田 稔
(はじめに)
第一章 あなたにとって不安なこと、悩みごとは何ですか?
「幸せ」とは何か・・・・・「不安のない」生活
「生と死」について
第二章 「第二の人生を楽しむコツ」考え方・キーワード
「バランス」「オンリーワン」「チャレンジ」
第三章 「生き生き」とした第二の人生を送るために:「あなたは、どれにあてはまりますか?」
考え方のステップ
① 心配ごと・悩みごと・やりたい事(目標)を整理する
(例)あなたの退職後の心配ごとは何ですか? ⇒「答えA」
② 考え方を整理する
(例)あなたは退職後何をやりたいですか ? ⇒「答えE」
③ 行動計画を立てる
第四章 行動計画を立てるにあたって:「2つ以上の解決策を検討しましたか?」
(おわりに)
(はじめに)
団塊世代のサラーリ-マンのみなさんが、定年退職後にどのような生活を送られようとしているかは、人により様々だと思います。
・退職金をもらっても、お金が足りないのではないかと心配されている方、
・お金はあるが、健康状態が良くないので、健康で長生き出来るかと心配されている方、
・お金もあり健康だが、夫婦関係がうまくいくかどうか悩んでおられる方、
・社会貢献をしたいが、(例えば、介護の資格はないので)どうしたらよいか迷っておられる方、などなど。
これは、みなさんの心配ごと・悩みごとや、やりたい事を整理して、「第二の人生を2倍楽しむためのコツ・考え方」のヒントをまとめたものです。
定年退職後「お金の不安がなく、健康で長生きする」のが理想的ですが、あなたにとっては何が一番不安ですか?
あなたにとって「幸せ」とは何ですか?あなたは、どんな第二の人生を送りたいのですか?これからの人生を楽しむコツは?
本書は、このような疑問にみなさんが自問自答される上で、参考になる考え方の軸・キーワードを提案するものです。
いくつかの質問に答えていただくと、みなさんの心配ごと・悩みごとや、やりたい事について、整理し易いようになっております。
第一章 あなたにとって「幸せ」とは何ですか? 不安なこと、悩みごとは何ですか?
「幸せ」な生活とは、「生まれ」や「育ち」とは関係なく、「不安」がなく、本人が「幸せ」と感じている生活と言えると思います。「生まれ」や「育ち」は、与えられたもので、自分で自由になるものではありません。しかし、「不安」に感じるかどうかは、あなた次第です。退職後の生活について、あなたが現在感じている「不安」を明確にし、その「不安」を取り除くことが先決です。
まず「幸せ」とは何か、について考えてみます。「生まれ」「育ち」に恵まれ、「幸せ」をつかんだと言われる人々が目につきます。ここでは、「生まれ」は「遺伝的」に才媛・健康に恵まれ、親の「遺産」があることを言います。「育ち」は「家庭環境」が良く、友人関係も良いことを言います。
しかし世の中、「生まれ」「育ち」に恵まれている人ばかりではありません。この二つがそろっていなくても、「幸せな人」はいっぱいいます。それは「幸せ」の物差しが人によって違うからです。よく「幸せ」かどうかは本人にしか分からない、と言われます。このことに気がつくと、世の中の見方ががらっと変わります。
最近、団塊世代の男性に、「定年退職後なにが不安ですか?」というアンケートが出されました。第一に年金、第二に健康、第三に夫婦関係と答えたと言われます。中には「やりたいことがみつからない」という答えもあったということです。
瀬戸内寂聴さんはあるTV番組で、「やりたいことがみつからない、というのは、男としてだらしがない。世の中にはりりしい男の人も多いのに、こうしたアンケートの調べ方がおかしいのではないのですか」という趣旨の発言をされていました。私も大の男がなさけないと思います。若い人が自分のやりたいことがみつからない、と悩むのは分かりますが。
「お金に不自由しない、健康に不安がない、人間関係に不安がない」と三拍子そろった人はまれです。お金が十分あり、健康に不安がなく、人間関係も良い人は、「幸せ」な人です。この本を読む必要がない人たちです。
お金に不安がある人は、お金を増やす本を読んで勉強するのも良いでしょう。しかし、この本を読めばその必要はありません。お金が少なくても幸せと感じるかどうかが大事なことです。他の人と比較することなく、「身の丈の生活水準」で満足する幸せを感じることが出来ます。
健康に不安がある人は、健康増進の本を勉強して下さい。しかし、その前にこの本を読んで「健康のありがたさ」を感じ、これからは時間とお金を重点的に健康に投資する決心をして下さい。寝たきりになったらどうしよう、などと心配する時間があったら、規則正しい食事・運動・睡眠に気をつけて「体と心」両方の健康を維持・増進して下さい。
人間関係に不安がある人は、人間関係を良くする本を勉強するのも良いでしょう。しかし、この本を読めばその必要はありません。これからは、今までとは少し考え方を変えて、好きな人とだけ付き合えば良い、と割り切るのです。サラーリ-マン時代には、「嫌なヤツ」とも付き合う必要がありストレスがありましたが、これからはその必要はないのです。むしろ今まであまり省みなかった奥様や家族との関係を良くする工夫をして下さい。
社会とのつながり、社会貢献も必要だと考えられる人は、ボランティア活動に積極的に参加して下さい。堺屋太一の提唱する「好縁社会」を広げるのです。そうすれば「孤独死」になる心配はいりません。
あなたは「生と死」について考えたことがありますか?
「生」は与えられたもので、我々の自由になるものではありません。「死」も同じで、自分で「死」を選ぶのは賛成できません。「生」を受けたことを感謝し、「死」は自然の流れとして粛々と受け止めることが出来れば、心のやすらぎが得られます。人は「やりたいことがある」間は、「死」を考える暇はないのです。私の子供たちが中学生のころ「自殺したいか?」と聞いたことがあります。答えは「これからいろいろなことをやりたいので、自殺なんか考えたことがない」という答えでした。仲の良い友人は「自分は、毎日やりたいことを精一杯やっているから、いつ死んでも悔いはない」と言っています。
定年退職後に何をやりたいかは、できるだけ早く考え、準備することをお勧めします。趣味についても同じで、退職後考えるのでは遅いのです。少しずつ準備を始めることが大事です。
「生まれ」=「遺伝」と考えると、健康に恵まれた人は「生まれ」が良かったのです。これは、「運」と言ってもよいでしょう。他人の運の良さをうらやんでも仕方のないことです。生まれついた健康状態をより良くすることが大事なのです。
「育ち」=家庭環境、友人関係と考えると、家庭環境は与えられたものですが、友人関係は自己責任で良くもなるし、悪くもなります。黒柳徹子さんのお母さんが「長生きの秘訣は、好きな人と付き合うこと」とある雑誌に書いていました。第二の人生では、好きな人とだけ付き合えばストレスもなくなります。他人の目を気にすることも止めましょう。人は仲間と一緒にいたい、という欲望(集団本能)があります。好きな仲間を作って「孤独死」は避けたいものです。かといって、嫌いな人と無理をして付き合うのは、サラーリ-マン時代で終わりにしましょう。サラーリ-マンを卒業すれば、仲間を選ぶことが出来るのですから。堺屋太一が「好縁社会」を大事にしよう、と言っているように、今まで築いた人間関係を維持し、新たな「好縁仲間」を増やして下さい。
「目標」を持って、毎日「努力」を積み重ねている人には進歩があります。進歩を感じるとき、人は「幸せ」だと思います。サラーリ-マン生活を終わって、ほっとして何もしないと「ボケる」と言われるのは、目標を失うからです。定年退職後の目標は、ボランティア活動のような社会とのつながりがあるものが理想です。しかし、趣味に磨きをかけるのも良いでしょう。例えば、ゴルフでシングルをめざす、というのも理想的な目標です。人は、目標に向かって「努力」しているときに「幸せ」を感じるのです。もちろん、定年後の再雇用などで準現役を続ける場合、仕事のストレスで健康を損なわない状況であれば、仕事を目標にすることで良いと思います。この場合、仕事と趣味のバランスをとることが大事です。
第二章 「第二の人生を楽しむコツ」考え方・キーワード
「第二の人生を楽しむ」上で、いくつかの考え方・キーワードを提案したいと思います。
第一は、「バランス」です。
例えば、仕事と趣味のバランスを考えてみます。現役が望ましい反面「人生を楽しむ」という観点からは、いつまでも現役が良いかどうか疑問な点もあります。現役を続けながら、「人生を楽しむ」ことと、「(ストレスのある)仕事」とのバランスがとれれば理想的です。
昨年定年退職された方からいただいた年賀状に「趣味、ボランティア、仕事のバランスを取りながらの第二の人生のはずが、バランスが崩れ趣味の時間が減る一方です」というのがありました。やはり、自分の時間と、仕事・ボランティ活動などに費やす時間とのバランスをとることは、難しいようです。第二の人生では「人生を楽しむ」ことに優先順位が高いのですから、趣味に使う時間や、家族・友人と過ごす時間は十分確保しておきたいものです。
ただ、バランスをとる単位を毎日~一週間ではなく、3~6ヶ月くらいの中・長期の中で考えるとよいと思います。仕事・ボランティ活動が入れば、趣味は少し後回しでもよいかも知れません。ただ、仕事に夢中になると自分の時間がなくなってしまうので、あらかじめ十分計画を立てておく必要があります。例えば、仕事でもボランティ活動でも、引き受ける前に、自分のために使う時間をあらかじめ確保した計画を立てるようお勧めします。私は定年後5年間、そうした考え方で過ごしてきたつもりですが、なかなか思うようにはいきません。試行錯誤の連続でした。
第二は、「オンリーワン」です。私もサラーリ-マン現役時代は、「ナンバーワン」を目指して頑張ってきました。しかし、サラーリ-マン卒業後は「オンリーワン」で良いと思います。自分らしさ、自分流の生き方、楽しみ方を大切にしたいものです。そのためには、他の人と比較しない癖をつけたいものです。
「上を見ればきりがない」と言われます。人それぞれ「生まれ」も「育ち」も違う訳ですから、定年退職後の生活環境が同じでないのが当たり前なのです。サラーリ-マン時代は、業績評価や昇進などで仲間ではありながら競争状況にあったので、比較するのもやむを得なかったと思います。しかし、サラーリ-マン卒業後は、自分だけの生活を、自分流に楽しむ、いわば「自己中心」でよいのではないでしょうか。
特にお金の面では、ついつい他の人と比較しがちです。しかし、親の財産を受け継いだ人もいれば、一代で努力している人もいます。前小泉首相ではありませんが「人生いろいろ、人もいろいろ」です。お金持ちを見たら、「うらやましい」と思わずに、「幸せな人もいるものだ。前世に余程良いことをしたのだろう」と思えばストレスは生じません。
この意味で、物事には「多様性」があること、「人もいろいろ」であることに気がつくと、気分が楽になります。
どのようにして「仕事と趣味に使う時間のバランス」をとるかという問題でも、「オンリーワン」の考え方が役立ちます。この問題を解決する、万人に共通の回答はないと思いますが、一つの考え方は、徐々に趣味に使う時間を増やすことだと思います。ただ、そのスピードは人さまざまで良いのではないでしょうか。「オンリーワン」の思想です。前述した年賀状の友人のように「(仕事が忙しくて)趣味の時間が減る一方です」という便りに、「仕事があってうらやましい」とは思わないで、私の場合は、「趣味に時間を使えて幸せだ」と思うことが大事なのです。
第三は、「チャレンジ」です。新しいことにチャレンジすること、言い換えると「日々あらたに」です。
日野原重明さんは「新老人は
① 新しいことにチャレンジすること、② 愛すること、そして、③ 耐えることが大切だ」と言われました。
「新しいことにチャレンジすること」、いろいろなことに「興味」を持ち続けることが大事なのです。目標を立て、達成したら「ヤッター」と自らお祝いをする。このことにより、達成感・自己充足感が得られます。ただ、挑戦のテンポは、現役時代より「スロー」で良いと思います。
私の恩師の亡武田豊さん(元新日鉄会長)は、大脳生理学を人事管理に応用された方です。武田豊さんによると、新しいことにチャレンジし「創造力を働かせると、前頭葉の活動が活発になり、やる気を起こす」と言われます(注)。油絵を描いたり、料理したり、どんなことでも創造することは、脳を活性化してやる気を起こします。そして、次の目標にチャレンジしたくなります。ボケ防止にも役立ちます。(注)巻末資料②「莫妄想」(ページ24)を参照下さい。
私の場合は、油絵も描きたいし、ピアノの新しい曲にも挑戦したい。松下幸之助さんのように「日々あらたに」を座右の銘にしています。
第三章 「生き生き」とした第二の人生を送るために
考え方のステップ
「これからの生き方」を考える上で、前述のようなステップをふむと考えやすいと思います。
「答え A」まず、例として、お金について次のように考えて見ます。
第一のステップは、心配ごと・悩みごと・やりたい事(目標)を整理します。
お金について、あなたの心配ごとが「老後の資金は十分か」と仮定します。アンケートへの回答にあったように、これからの年金がどのようになるのかは、みなさんが心配している大きな問題です。しかし、年金の問題は政治問題であって、あなたの力が及ばない問題(注)ですから、あなたが影響を及ぼせる範囲の問題について考えるようにします。例えば、支出を減らすことは、あなたの決断で可能なことです。退職後も収入がある人はまれでしょうから、支出を抑えることを考える方が現実的です。
(注)「コントロール・モデル」という考え方があり、自分のコントロールできない範囲の事柄については、与件として考えることが大事です。コントロールできる範囲の事柄について集中しなさい、と言われます。
やりたい事(目標)は「特技を生かして小遣いを稼ぐ」と仮定します。
第二のステップは、3つの軸で考え方を整理します。老後の資金を考える場合に、「バランス」の軸では、「収入と支出のバランスをとる」ことを検討すると良いでしょう。資金計画の面では、日常生活に必要な資金、病気・怪我など万一に備える資金(保険など)、旅行など趣味に使う資金の3つくらいに分けて考える。この場合も「バランス」をとることが大事です。心配性で、病気・怪我など万一に備える資金に多く配分し過ぎますと、旅行などの楽しみが減ります。
お金については、「オンリーワン」の軸が最も大事です。「他人と比較しない」ことです。「身の丈の生活水準で満足する」ことで「幸せ」と思うようになると、心安らかになります。「生まれ」のところで述べたように、親の財産を相続したり生まれつき恵まれた人もいます。しかし、他人を見ないで自分の力の範囲で、自分の退職後の資金計画をたてることです。
「チャレンジ」の軸では、「特技を生かして小遣いを稼ぐ」ことを検討すると良いでしょう。再雇用の制度で定年延長されれば別ですが、そうでなければ再就職は至難の業です。あまり再雇用に期待しないで、太極拳とか、英会話とか特技をお持ちの方は、ボランティア活動の一環として「特技を生かして小遣いを稼ぐ」ことは可能です。
第三のステップは、行動計画(注)を立てることです。退職後の「資金計画は、早めに着手する」方が良いと思います。収入面では、年金額を確認し、貯金・金塊など流動性の高いものと、株券など流動性の低いものと仕分けすることも必要です。同時に、支出面では、奥様の協力を得て「みなさん独自の生活水準を見直す」ことです。この見直す作業を奥様と共同ですることは、次に述べる夫婦関係を修復するきっかけとして大変有意義なことです。
「特技を生かして小遣いを稼ぐ」についても、早めに「特技を売り込む」具体的な計画を立てて、少しずつ実行すれば可能なことです。これは、人生を楽しみながら資金面の助けになるので、奥様も歓迎するはずです
(注)これには、「心配ごと」をなくす対策や、「チャレンジ」すること、目標を達成する為の対策の計画も含まれます。
以下、健康、夫婦関係、社会とのつながりについても、同じ考え方で整理します。
「答え B」健康については、第一のステップで、健康についての心配ごと・悩みごと・やりたい事(目標)を整理します。
あなたの心配ごとが「健康を維持できるか」と仮定します。日頃から人間ドックで指摘されている健康上心配な点について、早い時期に専門医に相談することが大事です。原因不明の病気から開放されると「不安」がなくなります。第二の人生を健康に過ごすための第一歩です。寝たきりになったらどうしよう、等と心配する前に不安の芽を摘むことです。
健康について、やりたい事(目標)が「新しいスポーツを始める」ことであると仮定します。
第二のステップは、3つの軸で考え方を整理します。ここでは、体と心の「バランス」を例にあげます。健康というと、ジムに通って体力づくりのイメージがあります。確かに、年をとって動けなくなるのは避けたいものです。運動を続けることに、毎日一定の時間をさいて下さい。私の場合、医者からも薦められ、毎日実行できているのは夕食後30分の(速足歩きの)散歩です。よく奥様とご一緒に散歩されている姿に会います。
ここでは、さらに体と頭の訓練のバランスをとることをお勧めします。頭の体操はみなさんに合ったものなら何でも良いと思います。「大人の算数ドリル」や「ぬり絵」「すうどく」などなど。大事なことは、毎日一定の時間を頭の体操にもさき、運動と「バランス」をとって楽しんで続けることです。
「オンリーワン」「チャレンジ」の軸では、他の人がやっているからではなく、みなさんがやりたい新しい運動を始めましょう。例えば、奥様と社交ダンスを始められるのが理想です。社交ダンスは運動量も多いし、音楽を楽しみながら、奥様との会話も出来ます。特に、(若い)女性に教えてもらえれば心が「ときめき」ます。これからは「ときめき」「感動」を大切にすることが大事です。2006年12月17日NHKの「認知症・・・そのとき、あなたは」で「社交ダンス」は異性の手を堂々と握れるので、認知症予防にも良い、と言っていました。
第三のステップは、行動計画を立てます。日課の計画の中に、必ず健康維持・増進のための時間(例えば、「毎日30分散歩する」)を入れることです。上手な時間の使い方の一つに、「自分が大事と考えることに、優先的に時間をさく。そのためには、日課に入れたその時間は『既に使われている』と考えて(これを「ブロック」する、と言います)、絶対に変更しない」という原則があります。社交ダンスを始められるのであれば、早速、区報などから社交ダンスの講習会の時間を予定に入れて、その時間帯には他の予定を入れないようにしましょう。
「答え C」次に、夫婦関係について。第一のステップとして、心配ごと・悩みごと・やりたい事(目標)を整理します。
あなたの心配ごとが「濡れ落ち葉にならないか」と仮定します。定年離婚の原因の多くは、主人在宅症候群だと言われています。今までは、朝ご主人を会社に送り出せば、一日中自由に過ごせた奥様が、退職後は主人が家に居るといろいろと遠慮するようです。友達と電話するのにも気を使うようで、例えば、「主人が出かけていない月曜日に電話して」という奥様が多いと聞きました。昼ご飯も、今までは余り物で済ませていたのが、献立を考えなければなりません。結果「図書館にでも行って、一日過ごしてきて下さい」ということになるのです。
会話がない、というのも奥様の不満の一つようです。みなさんにとって悩みごとでなくても、奥様から見ての悩みごとであれば、早い時期にそのことに気づいて、その悩みごとをなくす対策を立てることが大事です。「相手の立場に立って考える」という人間関係を良くする黄金律は、夫婦関係でも一番大事なことです。
多くの奥様は、退職後夫婦で旅行に行きたいようです。子供を育てるのに忙しかったので、夫婦でゆっくり温泉に行きたいという奥様の声を聞きます。
こうした心配ごと・悩みごとを解消するためには、昔のように仲良くしたい、共通の時間を大事にしたい、ということを目標にすることです。こうした目標は、夫婦関係の修復に役立つと思います。
第二のステップは、3つの軸で考え方を整理します。
「バランス」をとる、という軸では、奥様と一緒に過ごす時間と、自分だけの時間とのバランスをとると良いでしょう。夫婦関係の修復をはかろうとして、退職後、急に奥様について歩くご主人がいます。奥様からすると、放っておかれるのも
不満ですが、ベタベタくっついてこられるのも迷惑なのです。濡れ落ち葉と言われないためには、自分の時間をしっかり取って、自分のことをすることが大事です。そうすれば、奥様はサラーリ-マン時代と同じように、奥様の時間を使えるのです。
「オンリーワン」と「チャレンジ」の軸では、ここでも他の人と関係なく、自分たち夫婦にとって何が一番良い過ごし方かを考えることです。例えば、年に数回は夫婦で温泉に行く、という目標を立てるのも非常に良いことだと思います。ご夫婦で海外旅行を楽しんでおられる先輩はたくさんおります。
第三のステップは、行動計画を立てることです。例えば、年に数回の温泉旅行と月に1~2回の外食、コンサート・お芝居見物などの組み合わせで、奥様と一緒に過ごす時間を優先的にとります。あとはそれぞれ自分の時間を大事にする生活を計画されてはいかがでしょうか。ある先輩は、「退職後は、朝出かけて夕方まで帰らない。ただし、サラーリ-マン時代と違って、夕食は一緒に食べる。男は外に出てあげるのが礼儀だよ」と言っていました。
「答え D」特定は出来ないが、「なんとなく不安」という方も多いと思います。或いは、不安な事が多すぎて整理し切れない方もおられるでしょう。
前述したように、不安でないことは「幸せ」の重要な条件です。不安を取り除くには、何が不安なのかを整理することが大事です。そして、その不安があなたにとって、どのくらい重大なことなのか(重要度)と、どのくらいさし迫っているのか(緊急度)を整理することです。
整理するステップは、次のとおりです。まず、日頃気になっている不安なことをリストアップします。ここでは、キーワードだけでよいので、何でもすべてリストアップします。一週間くらいかけて思いついた時にメモします。メモはポケットノート一冊にまとめて整理します。メモ用紙などあちこちに書かないことです。
次に、優先順位をつけます。この場合、縦に優先順位の序列をつけます。横に並べて同じ優先順位としないように、「どちらかが、より重要だ」と判断します。そうすることで「あれもこれも」と焦点がぼけるのを防ぎます。重要度と緊急度とのマトリックスで整理すると優先順位をつけやすくなります。
次に、「社会とのつながり」について考えます。
「答え E」あなたの心配ごとが「社会とのつながりがなくなる」と仮定し、「やりたい事」が「社会貢献したい」と仮定します。
第一のステップで、やりたい事(目標)を整理します。
会社のOB会があったり、趣味(例えば、ゴルフ)の会で、退職後も、会社の人との付き合いが続く方も多いかと思います。しかし、サラーリ-マンは会社で過ごす時間が人生の大半を占めるので、近所の人、地域の人々と知り合う機会が殆どありません。
会社以外の付き合いがなかった方は、退職後は家の外に出かける機会が急に減ります。自宅でTVばかり見てゴロゴロしていると、「濡れ落ち葉に」と言われます。いまさら、隣近所の人と付き合うと言っても、共通な話題もなく、疎遠になりがちです。奥様たちは井戸端会議で顔なじみですが、ご主人は仲間に入れません。
退職後は、「社会貢献」などで、何らかの社会との関わり合いを持ちたいと願うのが自然だと思います。
第二のステップは、3つの軸で考え方を整理します。「バランス」の軸では、社会貢献に費やす時間と、趣味や家庭に使う時間とのバランスをとることが大事です。ボランティア活動で、サラーリ-マン時代と同じように外に出ていますと、退職後は夫婦でゆっくりしたいという奥様の願いがかないません。反面、一日中家出ゴロゴロでは「濡れ落ち葉に」になります。
程度問題ですが、バランスのとれた「すれ違い夫婦」の状態が理想のようです。私の人生の先輩は介護のボランティア活動をしておられますが、奥様は月曜から金曜までカラオケ三昧で、夫婦で一緒に食事をするのは週末くらいだそうです。時々顔を合わせるほうが新鮮だと言われています。
「オンリーワン」、「チャレンジ」の軸では、自分の好きな趣味を続けたり、サラーリ-マン時代に時間がなくて出来なかった、新しい趣味に「チャレンジ」して仲間を増やすのが良いでしょう。時間とお金がかかりますが、第二の人生を楽しむ投資と考えることです。
第三のステップは、行動計画を立てることです。ボランティア活動や趣味の会に、積極的に出かける計画をたてます。会社と関係のない、例えば、趣味の会、同窓会などは、利害関係なく退職後も付き合える大事な仲間です。そうした仲間の会合には、堺屋太一の言う「好縁社会」、「好縁仲間」として、忙しいサラーリ-マン現役時代からも、できるだけ顔を出しておくことが大事です。
「答え F」次に、「あなたのやりたい事」が「わからない」と仮定します。
好きなこととは、「いつ迄やっていても飽きないこと」といわれます。おもしろい小説を深夜まで、時間の経つのを忘れて読むことはありませんか。NHKのTVで、ペットのトリマーをしている若い女性に、「あなたは何故トリマーの仕事を選んだのですか?」と質問しました。「小学校のころの写真に、犬を抱いている写真がありました。その写真の自分が、一番楽しそうな顔をしていました。だから自分は犬の世話をすることが好きなのだ、ということに気がついたのです」と答えていました。
企業のキャリア・カウンセリングの場面では、「やりたい事がわからない」場合は、「孤島に行って、お金と時間がたっぷりあったら、あなたは何をしたいですか?」という質問をします。みなさんも、同じような質問に自分で答えてみて下さい。すると、自分の好きなこと、やりたい事が見えてくるのではないでしょうか。
サラーリ-マン時代に、楽しい思い出になるような仕事をされたとすれば、その仕事に近い活動をすることが、退職後のあなたにとって「幸せ」なことだと思います。例えば、社員教育を担当されていたとすれば、退職後にあなたの得意な分野を市民講座で教えるのが楽しいでしょう。
第四章 行動計画を立てるにあたって:「2つ以上の解決策を検討しましたか?」
行動計画を立てるにあたっては、「問題解決の方法」という手法を使うと、「2つ以上の解決策」を検討し、より良い行動計画を立てられます。
例えば、「夫婦関係が心配」というテーマについて、次のようなステップをふみます。
1)最初に、心配ごとを文章で書きます。この例では、「退職後『濡れ落ち葉にならないか』と心配している」と書きます。
2)次に、どういう状態になれば解決したといえるのか。解決したことを示す要素(成功要因)を明確にします。また、その中でどの要素が最も重要かを決めます。この例では、「昔のように仲良くしている。一緒にいる時間が楽しい。会話がはずむ。一緒に旅行する」など、いろいろあると思います。その中で、「毎日笑顔で話している」状態が最も大事だとします。
3)ブレーンストーミングやピラミッド原則で選択肢を創出します。例えば、「話し合いの時間をとる」「一緒に旅行する」「料理を勉強して、自分で料理を作る」などなど。
4)実行案を選び、行動計画を立てます。例えば、「明日から奥様の話を、時間をかけてじっくり聞いてあげる」という行動計画を立てます。
以上のように「問題解決の方法」を使って整理すると、いろいろなアイデアが浮かんだ時に整理しやすいし、より良い解決策が得られると思います。
(おわりに)
いろいろな経歴・考え方をお持ちの、サラーリ-マンすべての方に満足いただける回答は用意出来ませんでした。ただ、考え方・整理の仕方について理解いただき、みなさんの場合にあてはめていただければ幸いです。
私自身も、これを書きながら「自分の場合はどうだろうか」とシミュレーションしていました。いろいろアイデアが浮かぶことが大事ですし、そうしたアイデアを整理することで、また新しいアイデアが浮かぶものです。
現在サラーリ-マンの方は、ゆっくり第二の人生のことを考える時間がないかも知れません。しかし、時間管理の教訓では、「第二の人生を考えること」は高い優先順位として、しっかり時間を予約することが大事です。早い時期に、例えば、一日旅に出るくらいのつもりで、「考える時間」「計画する時間」を予定表に入れることです。その時間に、以上述べた考え方・コツをみなさんの場合に当てはめてみて下さい。
私自身は、昨年2006年7月から10月までの100日間、ピースボートで世界一周の船旅をしてきました。その旅行の間に、「第二の人生を楽しむコツ」を考えました。船旅の日記は、「団塊世代の100日間世界一周旅行」(仮題)で、文芸社から7月に出版される予定です。こちらもご参考にされますよう、ご紹介いたします。
以上
次回 5月中旬 予定
最近のコメント